2010年7月10日土曜日

擦弦楽器/弓奏楽器

リュート形の弓奏楽器弦楽器は弦を振動させることが音源になるが、振動させるアクションとして「たたく」「はじく」「こする」の3つの方法がある。

ここで紹介している楽器は弦をこすって音を出すもの。
弦をこすって音を出す楽器を擦弦楽器(さつげんがっき)といい、その中でも弓で弦をこする方式を採用しているものを弓奏楽器(きゅうそうがっき)という。
ということは、弓を使わずに弦をこする楽器もあるわけだ。例えばハーディガーディという擦弦楽器があるが、これは円盤を回して弦をこする構造になっている。

さて本題の弓奏楽器。弓で演奏する楽器のほとんどはリュート形をしているといってよい。リュート形とは、棹(ネック)があって、この上で弦を押さえつけて音程変化させることができる。

(イラストはリュート形の弓奏楽器の代表的なカタチ)


糸巻き : 調弦する仕組み
弦の張りを調節するチューニングペグ。棒に弦を巻きつけて張りの強さを調整する。

ネック : 音高を決める棹
弦を押さえて、弦の長さを変化させ音程を決める。リュート属の弦楽器がリュート属であるアカシがこの部分。固くて強い木材が使われる。弦をこすって音を出す弓奏楽器は、一部を除きほとんどがフレットは付いていない。

弦 (げん): 弦楽器なので弦を張ってある
古くは、羊の腸/絹/銅線などが使われた。現在ではナイロンなどの化学素材やスチールなど。またこれらの素材を何層かに組み合わせた弦が作られている。太さ(質量)、張力、長さのそれぞれで音程を変化させることができるので、弦は楽器にとってとても都合のよい素材である。

ボディ : 音を増幅させる箱
弦の音を増幅させる音響箱。多くは木製の箱であるが、ヒョウタンやカボチャを音響箱として使っている楽器もある。獣の皮やヘビの皮を張って増幅させるものも多い。

ブリッジ : ボディに弦の振動を伝える
弦の振動をボディに板や皮に伝える役目をする。弓奏楽器は弦に弓の毛を1本づつ接触させなければならない。そのため、弦が3本以上ある場合は立体的に配置し、先端部分は丸く半円を描く形になっている。

弓 (ゆみ): 弦を振動させる
弓奏楽器であるからして、弓がなければ弓奏できない。弓の毛は馬のシッポを使うことが多い。毛に松脂をこすりつけて摩擦を大きくして使う。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。