フシタールは、新疆ウイグルの楽器。
ヘッド部分には鳥の彫刻があって、指板や表板の文様も手がこんでいて、なかなか美しい造り。
ギジェクもそうだけど、エンドピンには膝に載せて固定するためのスタンドがついている。座らないと膝に載せられないから椅子に腰掛けて、楽器は垂直に立てて演奏するわけだ。
胴の底は寄木細工で丸くなっている。これはアラブ圏にあるウードからの伝統。リュートやマンドリンにも採用されていて、表板は平らな板だ。
でも、フシタールは少しだけ違う。
胴の左右はスプーンで切り取ったようにへこんでる。弓奏楽器だからこうなってる。弓がそれぞれの弦にキッチリと接触するするために角度を変える必要があるわけ。弓が胴にぶつからないように切り込みがあるんだね。
Khushtar は定まったカタカナ表記がないので、ホシュタルとかホシタールなどという場合もある。
ちょっと気になるのは最後の tar。tar は、ペルシャあたりでは「弦」の意味があって、最後に tar とつく楽器名は多い。おそらく、フシタールもその昔、アラブやペルシャあたりから伝来しウイグルで独自に完成された楽器なのだろう。