中国の二胡は日本でお馴染みなので、ハンマーのような形をした弦楽器は、中国固有の楽器と思いがちだね。中国の弓奏楽器はペルシャあたりから、シルクロードを経由して中国の北部に伝わってきたとも言われるが、どうなんだろう。
範囲をもっと広げてみると、タイ、カンボジア、ベトナムにはこのハンマー形の楽器があれこれ存在する。
ここで、ラバナストロン説が浮上してくる。ラバナストロンはセイロン(今のスリランカ)のラバナ王が発明したらしい。絵に書いたようにハンマー形をしていて、中国で言ういわゆる胡琴(二胡や京胡などの仲間)と同じ構造を持つ伝説の楽器。
このハンマー形楽器ラバナストロンは、ひょっとするとセイロンからインドへ、インドからタイ、カンボジア、ベトナムへ伝来したのか。そして中国へやってきて二胡になったのか。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
ともあれ、ダン・ニー(Đàn nhị)はベトナムで演奏されている2本弦の弓奏楽器。形も演奏方法も中国の二胡とほとんど同じだ。nhị はベトナムの言葉で「2」の意味。日本でも「2」は「ニー」だ。