2013年4月6日土曜日

牛腿琴 ニウトゥイチン

中国 トン族の牛腿琴
牛腿琴 niutuiqin
ウシのモモである。中国の南部の民族楽器でその名の通り牛の腿肉に似ているとことから付いた名前。日本語読みすれば「ぎゅうたいきん」であるが、これは一般的ではない。そもそも、日本ではあまり知られていないので日本語の決まった言い回しは無いのだろうね。中国発音では無理やりカタカナにすると「ニウトゥイチン」となるみたい。でもこれまた発音しにくいし覚えにくい。

中国には、総称として「胡琴」と呼ばれる弓奏楽器あがり、二胡などはよく知られている。胡琴の仲間はモンゴルからベトナム、タイに至るまで東アジア全域で愛奏されている。
そんな中でこの牛腿琴は異質である。もっともっと西・・・黒海あたり・・・そしてヨーロッパのデザインが漂う。ケメンチェとかレベックなどの西の弦楽器にすこぶる近い形。左のイラストは近代的な作りの楽器だけれど昔のものと基本的デザインは同じだ。古くはちゃんとした指板が付いていなかったり、ボディ表面は皮張りだったりしていたよう。でも、やっぱり牛の腿の形をしている。

ともあれ、この牛腿琴。シュロの縄の弦を張るのが本来だったらしい。そして、弓にもシュロ縄。現代にいたっては、本体の弦はスチールで弓は馬のシッポ。馬のシッポはやっぱり弓奏楽器に欠かせないようだね。
本体は牛の腿で、弓は馬のシッポか。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。