2015年8月5日水曜日

弓奏楽器:ポーランドのスカ

ポーランドのスカ
ポーランドのスカ suka
スカはポーランドの古い時代の楽器。
近代では使われなくなっていたが、製作図面が残っており(1888年の展示会で紹介されたようだ)、愛好者が復活させ、少数の演奏者がいる。

西洋東洋を問わず、各国々の神話では頭が人間で身体が獣の怪物(神と呼ぶのが正しいのかな)が出てくるが、スカも二種類の楽器が合体した形をしていて、頭がサーランギで、胴体は現在にも通じるバイオリンの形状だ。
サーランギというのはインドの楽器で、ネックが胴体と区別がつかないくらい太くて、音を調節(弦の長さを調節)する際には弦を指板に上から押さえこむのではなく、弦と弦の間に指を入れて横から指の背中(爪)で押さえる。押さえるというよりは、弦に触れるというほうが正確な表現かもしれない。

ここではサーランギを代表としたが、弦を横から爪で操作する演奏形態は 中央アジア・西アジアでは多くの弦楽器に普通に見られる。
スカの太いネックは、この「弦を横から爪で押さえる演法」を受け継いだスタイルになっている。
そして、見ての通り、共鳴ボディの凹んだウェスト、 f 字孔、テールピースなど、現在のバイオリン属とほぼ同じ形状をしている。
ポーランド
ポーランドは比較的アジアに近い位置にあるので、アジアとヨーロッパの楽器が合体したのかもしれない。もともと、バイオリンなどは東洋の弦楽器を西洋流に作り上げたものなので、西洋楽器として進化する過程で、スカの様な混血楽器が生まれるのは、そんなに特別な事ではなかったのだろうね。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。