2017年3月8日水曜日

胡弓(胡琴)の仲間

東アジア一帯で使われている弓奏楽器。
他の地域には無い独特の構造を持ちで、弾き方も独特だ。 代表的なものは中国の二胡(アルフ、日本語では「にこ」と読む)。この「胡」は「西の地域」を意味する。 この名から、ペルシャあたりの西アジアから伝わったのだと思われるが、構造、演奏方法は独自に発展している。 

特徴は下記の通り。

  • 全体のデザインは、ハンマーの様な形をしていて演奏時に立てて構える。
  •  共鳴胴は筒型で小型の太鼓みたいな構造で、表面に蛇の皮が張ってある(木板のものもある)。
  •  基本的に2本弦で、弦と弦の間に弓の毛が挟まっている。弓の毛は表裏を使い、それぞれの弦をこする。
  •  ネックは棒状で、弦はネックから離れた状態で張られている。そのため弦を押さえる時に弦の張り強さを変えることができるので、クネクネとした滑らかな旋律を奏でることができる。

アルフ 二胡
中国

日本では二胡を日本語発音で「にこ」とよぶ。
アルフ(二胡) 中国
ジンフ 京胡
中国

日本では京胡を日本語発音で「きょうこ」とよぶ。
ジンフ(京胡) 中国
ヘグム 해금
韓国
ヘグム 韓国
ソー・ドゥアン ซอด้วง
タイ
ソー・ドゥアン タイ ซอด้วง
ソー・ウー ซออู้
タイ
ソー・ウー タイ ซออู้
サロー สะล้อ
タイ
サロー タイ สะล้อ
ダン・ニー đàn nhị
ベトナム
ダン・ニー(đàn nhị) ベトナム
ビザーンチ
モンゴル

この楽器は4本弦で2組に分かれている。弓の毛は2束あって、それぞれ2組の弦に対応している。
ビザーンチ モンゴル

弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。