2011年12月11日日曜日

クルース

クルース Crwth弦をこすって音を出すリュート形の弦楽器ということで紹介しているのだけれども、クルースはリュート形には見えない。
そもそもリュート形とは有棹撥弦楽器とか有棹擦弦楽器とかいう聞きなれない名称が付いていて、棹(さお:つまりネックのことだね)がある弦楽器のことをいう。「はじくのが發弦」で「こするのが擦弦」だ。弓で弦をこするので弓奏楽器ともいうので有棹弓奏楽器ということもある。
だから、クルースは棹が有るので、有棹擦弦楽器であるし有棹弓奏楽器でもある。いずれにしても、つまりはリュート形だ。でも、リュート形には見えない。
ああ、なんかややこしくなってきた。

もともとクルースは、むかし、むかしの、そのむかし、リラとかキタラとかいうハープみたいな楽器だった。誰かが、ネックを真ん中あたりに付けて弦の長さを変えることを思いついたんだ。弦を押さえることによって音の高さを変えることができるようにしたんだね。
当時は指で弦をはじいて音を出していたんだけれども、いつしか馬のシッポでこするもの面白いとして、弓での演奏をするようになった。だから竪琴のような容姿だけどリュート形の楽器としてこのページに載ることとなった。

ヨーロッパではクロードとかクロットとか、名前はそれぞれだけど流行りの楽器だったようだ。おそらく、バイオリンのようなとても良く鳴る奴が現れてクルースはすたれてしまったんだろうな。
ウェールズでは、18世紀ごろまで民族楽器として愛されていたそうな。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。