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2020年8月8日土曜日

新疆ウイグルの弓奏弦楽器

フシタール Khushtar

フシタールは、中国西部の新疆ウイグル自治区の擦弦楽器(弓で弦をこすって演奏する)。共鳴弦を持っているものもある。
特に中国西部の新疆プロヴァンス、ウルムチなど、ウイグルの人々の間でよく使われている。
フシタール(フシュタル)新疆ウイグルの弓奏弦楽器

フシタール Khushtar

ヘッドには翼を広げた鳥が彫刻されていて、4本弦は、西洋のバイオリンと同じ音程で調弦されている。もともとバイオリンと同じだったのか、古くはフシタール独自のチューニングがあったのかよく分からないけど、ともかく低い弦から G(ソ)、D(レ)、A(ラ)、E(ミ)の順でチューニングされている。
漢字では、「胡西塔尓」「胡西它爾」と書く。シルクロードの往来が活発なころ、「西胡」とは、西方のペルシャあたりを指す言葉であったので、この楽器は西の方から伝わった弦楽器が元になっているのだろう。







2019年8月2日金曜日

2本の弦

2本の弦を持つ弓奏弦楽器
two-stringed bowed musical instruments 2本の弦を持つ楽器

弦を擦って音をだす楽器(弓奏弦楽器)は世界中にあるんだけれど、2本弦というのはなぜか東アジアに多い。多いというよりは集中しているといってもいい。
中国の二胡は有名で、よく知られている。中国内でも二胡と同様な楽器は上のイラストの京胡をはじめ、たくさんの種類が存在している。
北の方へいくと馬頭琴がある。馬頭琴はモンゴルとその周辺の楽器として知られているが、さらに北へいくとロシアの領域(トゥバ)には獣の皮をはったイギルがある。
楽器の普及や存在は、国境ごとに区分けされているはずがない。なので、中国であろうが、モンゴルであろうが、ロシアであろうが文化的な交流は国とは関係なく広がっているんだね。




2本の弦を持つ弓奏弦楽器 東南アジア
南方でも同じく国境には関係なく広がっている。
中国よりさらに南、ベトナム・タイなどでは二胡と同じ祖先をもつであろう2本弦の弓奏楽器が多数存在する。


2019年1月22日火曜日

中国の弓奏弦楽器

弦を馬の毛でこする という弦楽器(弓奏弦楽器)の発祥の地はどこなんだろう

  • モンゴルあたりで生まれた。
  • いや、ペルシャあたりの西アジアで生まれたんだ。
  • 違う、インドかセイロンあたりに違いない。
  • さらには、エジプトだという意見も。

 あれこれと突き詰めることに熱心な方もおられるようだけど、私としては弓奏弦楽器がどこで生まれたかと特定する必要なんかないんじゃないとも思ったりする。一箇所の特定の場所で生まれたのではない。世界中に音楽好きの人が住んでいるんだから、東西南北、複数の地域で生まれたと考えるほうが自然じゃないかな。

「胡」の意味は

今回登場する中国の弓奏弦楽器はどこからやってきたかという事を考えてみても、なにかよくわからない状態になってしまう。二胡とか京胡、そして総括した名前の胡弓・胡琴とかにある「胡」という文字をキーワードとしてとらまえるてみよう。
 中国からみて西側の地域が「胡」であり、シルクロードの意味合いも含まれているという。ということは「胡」は西アジアのことである。 このあたりをふまえてだろう、二胡の祖先はペルシャあたりから伝来したという記述をよく見かける。
 しかしながら「胡」は、もともと西側ではなく、もっと古くは北側の地域を意味する言葉であったという。それならモンゴルの方角から伝来したということになる。

 楽器ではないが「胡」のつく名前としては、胡椒や胡麻がある。これらの植物を育てて栽培を始めたんはインドらしい。ということは「胡」は中国からみて南のほうを指すのか。 それとも胡椒や胡麻はインド→ペルシャ→中国 と回り回って伝わったから、西側から伝来した植物といことになるのか。
ね、よく分からんでしょう。
二胡(erhu/アルフ/にこ)
二胡(erhu/アルフ/にこ)
 中国の弓奏弦楽器といえば二胡。全体はハンマーの様な形をしており2本の弦が張られている。2本の弦なので二胡である。
弓の馬毛はこの2本の弦の間に挟まっていて、本体と一体になっている。
細長いネックがついているが、指板がなく弦は中に浮いている状態。
なので、ビブラートやスラーを効果的に効かせることができる。クネクネとした独特のメロディを奏でることができるのは、この構造と演奏方法によるものである。

中胡(zhonghu/チョンフー/ちゅうこ)
中胡(zhonghu/チョンフー/ちゅうこ)
 中胡は二胡より少し大きい。

四胡(sihu/スーフ/しこ)
四胡(sihu/スーフ/しこ)
 4本の弦なので四胡だ。馬の毛は4本に絡んで取り付けられている。

京胡(jinghu/ジンフ/きょうこ)
京胡(jinghu/ジンフ/きょうこ)
 小さい。本体胴もネックも竹で作られている。

板胡(banhu/バンフ/ばんこ)
板胡(banhu/バンフ/ばんこ)
 二胡の仲間は音響胴の表面はヘビ皮などを貼り付けてあるが、板胡は木板でできている。

墜胡(zhuihu/ツイフ/ついこ)
墜胡(zhuihu/ツイフ/ついこ)
 指板がないのが二胡の仲間の特徴であるが、墜胡には指板がついている。

革胡(gehu/ゲフ/かくこ)
革胡(gehu/ゲフ/かくこ)
奇妙な形が特徴的。西洋のチェロを意識して中国デザインを取り入れたもの。チェロと同様の指板がついている。

缶詰のような筒型の音響胴に細長いネックを取り付けたスタイルの弓奏弦楽器は、東アジア独特のデザインで、北はトゥバやモンゴル、南はベトナム・タイ・カンボジアでも愛用されている。

2018年1月15日月曜日

フシュタール

フシュタール khushtar
フシュタール khushtar
中国の西側、様々な文化が混ざり合っている地域・・・・新疆ウイグルには、アラビア圏の影響を受けた楽器が多い。
フシュタールはそのひとつ。弦を擦って音を出す。弦は4本。
ヘッド部分には鳥の彫刻があって、指板や表板の文様も手がこんでいて、なかなか美しい造り。私達が知る中国中国したデザインとはちょっと異なる。胴の底は寄木細工で丸くなっている。これはアラブ圏にあるウードからの伝統かもしれない。
エンドピンには膝に載せて固定するためのスタンドがついていて、楽器を垂直に立てて演奏する。
胴のウェスト部分の左右はスプーンで切り取ったようにへこんでる。これは、弓がそれぞれの弦にキッチリと接触するするために角度を変える必要があり、弓が胴にぶつからないようになってるわけだ。
現在のバイオリンと同じ調律を採用しており、弓も入手し易いバイオリン用を使うことが多くなってきている。 ただし、弓の持ち方は伝統通り下から握る。

2017年3月8日水曜日

胡弓(胡琴)の仲間

東アジア一帯で使われている弓奏楽器。
他の地域には無い独特の構造を持ちで、弾き方も独特だ。 代表的なものは中国の二胡(アルフ、日本語では「にこ」と読む)。この「胡」は「西の地域」を意味する。 この名から、ペルシャあたりの西アジアから伝わったのだと思われるが、構造、演奏方法は独自に発展している。 

特徴は下記の通り。

  • 全体のデザインは、ハンマーの様な形をしていて演奏時に立てて構える。
  •  共鳴胴は筒型で小型の太鼓みたいな構造で、表面に蛇の皮が張ってある(木板のものもある)。
  •  基本的に2本弦で、弦と弦の間に弓の毛が挟まっている。弓の毛は表裏を使い、それぞれの弦をこする。
  •  ネックは棒状で、弦はネックから離れた状態で張られている。そのため弦を押さえる時に弦の張り強さを変えることができるので、クネクネとした滑らかな旋律を奏でることができる。

アルフ 二胡
中国

日本では二胡を日本語発音で「にこ」とよぶ。
アルフ(二胡) 中国
ジンフ 京胡
中国

日本では京胡を日本語発音で「きょうこ」とよぶ。
ジンフ(京胡) 中国
ヘグム 해금
韓国
ヘグム 韓国
ソー・ドゥアン ซอด้วง
タイ
ソー・ドゥアン タイ ซอด้วง
ソー・ウー ซออู้
タイ
ソー・ウー タイ ซออู้
サロー สะล้อ
タイ
サロー タイ สะล้อ
ダン・ニー đàn nhị
ベトナム
ダン・ニー(đàn nhị) ベトナム
ビザーンチ
モンゴル

この楽器は4本弦で2組に分かれている。弓の毛は2束あって、それぞれ2組の弦に対応している。
ビザーンチ モンゴル

2016年10月2日日曜日

革胡と低音革胡 .... 中国の個性的デザイン

革胡 Gehu
革胡 (Gehu)
太鼓の横っ腹にネックを取り付けたデザインで革を振動させて音を増幅する。チューニングや演奏方法はチェロに倣っている。


低音革胡  Diyin Gehu
低音革胡 (DiyinGehu)
同じく革張りの円筒胴横っ腹にネックを取り付けた構造をしている。名前の通り低音楽器で、チューニングや演奏方法はコントラバスに倣っている。


2015年11月26日木曜日

ギジェク ghijek

ギジェクを演奏する男性の図
ギジェク

ギジェクは、中国・新疆ウイグル自治区の楽器。
もともとペルシャ(現在のイラン)の楽器だが、東へと伝わり、中国・新疆ウイグル自治区の代表的な弓奏楽器として愛用されている。

丸い形の音響ボディにネックが伸びており、4本の弦が張られている。エンドピンの先には演奏時に安定して構えるための三日月形の台が付いていて、これを膝(腿)の上に載せ、立てて演奏する。


2013年4月6日土曜日

牛腿琴 ニウトゥイチン

中国 トン族の牛腿琴
牛腿琴 niutuiqin
ウシのモモである。中国の南部の民族楽器でその名の通り牛の腿肉に似ているとことから付いた名前。日本語読みすれば「ぎゅうたいきん」であるが、これは一般的ではない。そもそも、日本ではあまり知られていないので日本語の決まった言い回しは無いのだろうね。中国発音では無理やりカタカナにすると「ニウトゥイチン」となるみたい。でもこれまた発音しにくいし覚えにくい。

中国には、総称として「胡琴」と呼ばれる弓奏楽器あがり、二胡などはよく知られている。胡琴の仲間はモンゴルからベトナム、タイに至るまで東アジア全域で愛奏されている。
そんな中でこの牛腿琴は異質である。もっともっと西・・・黒海あたり・・・そしてヨーロッパのデザインが漂う。ケメンチェとかレベックなどの西の弦楽器にすこぶる近い形。左のイラストは近代的な作りの楽器だけれど昔のものと基本的デザインは同じだ。古くはちゃんとした指板が付いていなかったり、ボディ表面は皮張りだったりしていたよう。でも、やっぱり牛の腿の形をしている。

ともあれ、この牛腿琴。シュロの縄の弦を張るのが本来だったらしい。そして、弓にもシュロ縄。現代にいたっては、本体の弦はスチールで弓は馬のシッポ。馬のシッポはやっぱり弓奏楽器に欠かせないようだね。
本体は牛の腿で、弓は馬のシッポか。

2010年7月27日火曜日

京胡(きょうこ/ジンフ)

京胡/ジンフー
「胡(こ)」について、私のような歴史にうといバカオヤジが判ったような事を書いたりするのは遠慮しなければならない。どうも奥深い意味合いが込められているようだし、中国の長い長い歴史の中でその意味も変化してきているようであるので知ったかぶりはよくないみたい。

書き物から拝借すると・・・・・
  • 「胡」は、漢民族が、中国の北部や西部の異民族(とくに遊牧民族)を卑しんで呼んだ言葉である。
  • 「胡」とは、古代の中国西方、北方民族の総称である。
  • 「胡」は後に、「西胡」ともいわれ、西方のペルシャ系民族を指すようになった。
・・・・とある。

楽器関連の書物には「胡」は西の方面(ペルシャなど)の人やものを指し、西方から伝来し中国で発展した弦楽器を総称して胡琴という、と書かれている。
胡琴を具体的にいうと、二胡、京胡などの弓奏楽器のファミリーであり。また琵琶も含めるともある。

弦楽器の発祥の地は・・・・弦楽器は世界各国各地で作られたにしても・・・機能的に整った楽器として作り上げ、高いレベルの音楽道具として完成させたのはペルシャあたりの人々ではないかと思っている。シルクロードをわたり、東はインドへ中国へ、西はヨーロッパや北アフリカへ弦楽器が伝わり、その土地それぞれの文化で改良発展して来たのだろうと。

京胡が主題であるのに、「胡」だけに話題が偏ってしまった。
京胡は、京劇の伴奏楽器と使われる。ネックは竹でできている。中国ではジンフーと発音。
それだけか。すみません。


2010年7月26日月曜日

二胡(にこ/アルフ)

中国の二胡
中国の代表的な弓奏楽器。弦は2本。

筒状の胴に大蛇の皮を張ってある。ネックは棒状で指板がない。指板が無いので弦を強すぎず弱すぎず押さえて指の位置で音程を決める。
押さえ方が弱いと音程がとれずキーキーと甲高い音になってしまうし、強く押さえると音程が上がる。とはいえ、音程が上がって変化することを効果的に使い、あの二胡独特のクネクネとしたメロディの流れが生まれるんだけれども。

二胡の弓は弓奏楽器の中では特別な使いかたをする。他の弓奏楽器は伝統的なものであっても、バイオリンの弓を代用して使うことがある。
バイオリンは量産されているので(弓も量産されているので)手に入りやすいし、楽器の弓としては性能がよいので民族楽器固有の伝統的な弓より扱いやすいからだろう。
だけど、二胡の弓は代用がきかない。本体の2本の弦の間にはまり込んでいるんだもの。そして、二胡の弓の毛はゆるゆるだ。弱い張力で取り付けられているので、演奏する時は弓を持った右手の中指とくすり指で毛に張りを与えながら弦をこする。
毛は弦と弦の間にあるので、1弦(外弦)を弾く場合と、2弦(内弦)を弾く場合とで、弓毛の張りの強さを変えることも必要。かようなわけで、バイオリンの弓を代用して使うわけにはいかないのだね。

弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。