2014年11月10日月曜日

ハーディ・ガーディ

ハーディ・ガーディ Hurdy gurdy
ハーディ・ガーディ
ハーディ・ガーディは、擦弦楽器(さつげんがっき)ではあるが、弓奏楽器(きゅうそうがっき)ではない。

弦をこすって音を出す弦楽器は世界中いたるところに存在していて、たくさんの種類がある。それらは、馬のシッポの毛を取り付けた棒で弦をこする。馬のシッポには摩擦抵抗を増すために松脂を塗りたくってある。擦弦楽器のほとんどが、いや、総てといっていいくらいこの方法(弓 Bow)で音を出す。
つまり、擦弦楽器=弓奏楽器 としても(ほぼ)間違いはないようだ。
そんな中で特別なのが、このハーディー・ガーディー。弓を使わずに木製の円盤をハンドルを使ってくるくる回す。円盤には松脂を塗ってあって摩擦によって弦が震えて音が出る。
すでに11世紀ごろには オルガニストルム という、「円盤回し係」と「メロディ係」の二人で演奏する大型の楽器があった。ハーディーガーディーは、ひとりで両手を使って演奏可能にした、オルガニストルムの改良版ということなんだろう。

ハーディー・ガーディーは、ヨーロッパ・ルネッサンス期(15~16世紀ごろ)には とても人気のある楽器だった。楽器の名前や形状は違えどもヨーロッパの西から東にかけて全土で演奏され、さらにはロシアにも普及している。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。