2015年2月1日日曜日

擦弦楽器/弓奏楽器

弦を擦って音を出す。 擦弦楽器/弓奏楽器
擦弦楽器(さつげんがっき) 弓奏楽器(きゅうそうがっき) も 弦を擦って音を出す楽器。ただちょっとだけ違う。漢字の持つ意味合いから考えてみることにしよう。

擦弦楽器は、「弦を擦る」であるので、どんなもので擦っても「擦弦」である。韓国には木の棒で擦るアジェンという弦楽器があり、ヨーロッパにはハーディーガーディーやオルガニストルムという円盤を回して弦を擦る楽器がある。もちろん、弓で擦るのは「擦弦」である。擦奏楽器も同じ意味。

弓奏楽器は、「弓で奏でる」わけだから、擦る道具は弓である。「擦る」という漢字が含まれていないけれども擦る楽器だ。擦る道具は、木の棒でもなく、円盤でもない。弓だ。世界中にある弦を擦って音を出す楽器のほとんどが弓である。ほとんどであって、総てではない。

つまり、擦弦楽器の大くくりの中に弓奏楽器が含まれていることになる。
そしたら、ハーディーガーディーなど、円盤を回す楽器にも固有の表現があってもよさそうなのだけど見当たらない。少数派なので分類するほどでもなく、例外ということだろうか。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。