擦弦楽器(さつげんがっき) も 弓奏楽器(きゅうそうがっき) も 弦を擦って音を出す楽器。ただちょっとだけ違う。漢字の持つ意味合いから考えてみることにしよう。
擦弦楽器は、「弦を擦る」であるので、どんなもので擦っても「擦弦」である。韓国には木の棒で擦るアジェンという弦楽器があり、ヨーロッパにはハーディーガーディーやオルガニストルムという円盤を回して弦を擦る楽器がある。もちろん、弓で擦るのは「擦弦」である。擦奏楽器も同じ意味。
弓奏楽器は、「弓で奏でる」わけだから、擦る道具は弓である。「擦る」という漢字が含まれていないけれども擦る楽器だ。擦る道具は、木の棒でもなく、円盤でもない。弓だ。世界中にある弦を擦って音を出す楽器のほとんどが弓である。ほとんどであって、総てではない。
つまり、擦弦楽器の大くくりの中に弓奏楽器が含まれていることになる。
そしたら、ハーディーガーディーなど、円盤を回す楽器にも固有の表現があってもよさそうなのだけど見当たらない。少数派なので分類するほどでもなく、例外ということだろうか。