ポーランドのスカ suka |
近代では使われなくなっていたが、製作図面が残っており(1888年の展示会で紹介されたようだ)、愛好者が復活させ、少数の演奏者がいる。
西洋東洋を問わず、各国々の神話では頭が人間で身体が獣の怪物(神と呼ぶのが正しいのかな)が出てくるが、スカも二種類の楽器が合体した形をしていて、頭がサーランギで、胴体は現在にも通じるバイオリンの形状だ。
サーランギというのはインドの楽器で、ネックが胴体と区別がつかないくらい太くて、音を調節(弦の長さを調節)する際には弦を指板に上から押さえこむのではなく、弦と弦の間に指を入れて横から指の背中(爪)で押さえる。押さえるというよりは、弦に触れるというほうが正確な表現かもしれない。
ここではサーランギを代表としたが、弦を横から爪で操作する演奏形態は 中央アジア・西アジアでは多くの弦楽器に普通に見られる。
スカの太いネックは、この「弦を横から爪で押さえる演法」を受け継いだスタイルになっている。
そして、見ての通り、共鳴ボディの凹んだウェスト、 f 字孔、テールピースなど、現在のバイオリン属とほぼ同じ形状をしている。
ポーランドは比較的アジアに近い位置にあるので、アジアとヨーロッパの楽器が合体したのかもしれない。もともと、バイオリンなどは東洋の弦楽器を西洋流に作り上げたものなので、西洋楽器として進化する過程で、スカの様な混血楽器が生まれるのは、そんなに特別な事ではなかったのだろうね。