2015年7月5日日曜日

ギリシャ・クレタ島のクレタンリラ

ギリシャ。
人類に喜怒哀楽が生まれ、戦いあり平和あり、そして今なおサンダルを履いた神々が時々町にやって来る。石造りの家で、夜は松明(たいまつ)で明かりを灯し、神と人が混在して生活しているようなイメージがある。そんなはずはないのだが、勝手な想像は頭にしみついている。
ギリシャの自動車、ギリシャの家電、ギリシャのロックバンドなどがあってこれらが日本に多く紹介されていれば、そこまで時代錯誤はないのだろうれどね。
私の場合、ギリシャという国名とともに付いてくる知識というのは……、

  • テレビ漫画の「オリンポス神殿から悪を倒しにやってくる マイティ・ハーキュリー」
  • 動物などの学名は「ギリシャ語」から
  • 古代オリンピックの発祥
  • ギリシャ神話の英雄たち
  • 大昔の哲学者(ソクラテス、プラトン、アリストテレス)
  • ギリシャ文明、ギリシャ神殿その遺跡
  • 比較的新しいところでも、ジュディオングさんが歌ってた 「♪ wind is blowing from the aegean 女は海 ・・・」という唄。

などなど。
ギリシャ エーゲ海のクレタ島

だから、ニュースで「財政危機に陥っているギリシャで、EU=ヨーロッパ連合などが金融支援の条件としている財政緊縮策の受け入れの賛否を問う国民投票が日本時間の7月5日午後1時から始まり、有権者が一票を……」とかいうのは、どうもイメージに合わない。近代国家なのだから銀行、キャッシュカードがあるのは当たり前なんだろうけど、ATMに並ぶ人たち …… テレビでそんな映像を見るとギリシャという語感からずれてしまう。アポロンやオルフェウスが竪琴ではなく携帯電話を持っているような、そんな違和感がある。分かっているけど、そう思うのである。
海外の人たちから見ると「日本には今でもサムライや忍者がいる」という大げさな表現に似ているのかもしれない。
クレタンリラをひく女性のイラスト
クレタンリラをひく女性

さて、クレタンリラ (Cretan lyra)。
「クレタ島のリラ」という意味である。クレタ島は、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの文化が交わる島。地中海の東、エーゲ海を仕切るように浮かんでいる島。♪ wind is blowing from the aegean というわけで エーゲ海の風はこの辺りから吹いてくるのかもしれない。クレタンリラは、この島で生まれ愛奏されている楽器だ。

リラ(lyra)と言えば、近代では、竪琴(2本の柱で弦を支えるハープ)の形をしている弦楽器を指すが、古い言葉であるリラは弦楽器全般を表現する名称であり、この楽器にもリラの名前が付いている。
弦は3本。膝の上に立てて演奏する。
この伝統ある楽器、クレタン・リラを演奏する楽人は神々と一緒に暮らし、スマートフォンなど持っていないのだ、と勝手に思い込むのであるが・・・。

弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。