2016年8月19日金曜日

ちょっと変わった弓奏楽器

弓奏楽器といえばバイオリンを代表するように、共鳴の箱から1本のネックが伸びていて、それに添うように何本かの弦を張ってある。
ほとんどがこの形状‥‥ほとんど、である。つまりこの形状ではない、ちょっと風変わりな形の弓奏楽器も存在する。

プサルテリー psaltery
プサルテリー psaltery
プサルテリー psaltery
三角形の共鳴胴にドレミファ‥‥に調律された弦を張ってある。それぞれの音程の弦を選んで弓を当てる。
調律を正確にしていれば確かな音程は出るだろうが、早いパッセージは不向きだし、音の表情を出すのが難しい。

ヨーヒッコ jouhikko
ヨーヒッコ jouhikko
ヨーヒッコ jouhikko
フィンランドの民族楽器。2本の柱をまたぐ梁から弦が伸びている。指板が無いためハープの様な状態。指板に頼らず、弦に直接触れて音程を変える。

ヒーウカンネル hiiukannel
ヒーウカンネル hiiukannel
ヒーウカンネル hiiukannel
ヨーヒッコと同系列の楽器で、ヒーウカンネルはエストニアで使われている。

ウケリン ukelin
ウケリン ukelin
ウケリン ukelin
1900年代初め頃、アメリカのメーカーが製造した楽器。プサルテリーからヒントを得たのだと思われる。プサルテリーと違うのは、和音に調律した弦のセットを持っていて、伴奏しながらメロディーを弾くことができるというのがウリだったのだろう。
残念ながらそんなに普及しなかった。

アジェン ajaeng
アジェン ajaeng 牙箏
アジェン ajaeng
朝鮮半島の楽器。モンゴル、中国、ベトナム、日本、東アジアでは一般的な細長い楽器。いわゆる筝(こと)の形。朝鮮半島でも箏は弦をはじいて音を出すのが通例なのだけれど、そんな中アジェンは、はじかずに擦って音を出す。

 ネイルヴァイオリン nailviolin
ネイルヴァイオリン nailviolin
ネイルヴァイオリン nailviolin
これは弓奏弦楽器ではない。弓奏弦楽器はないが、弓奏楽器である。金属のピンの太さや長さを調整して音程を持たせ、そのピンを擦って音を出す。


弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。