2018年11月11日日曜日

裏側にハープを備えた弓奏弦楽器

ヨーロッパのビオラ・ディ・ボルドーネ。ヨーロッパの旧い時代(18世紀ごろ)に使われていた楽器で、英語ではバリトン(Baryton)。
音楽用語で、バスとテノールの間の声域もバリトンというが、この場合つづりは Baritoneだ(語源は同じかもしれないけど)。
本体を脚に挟み、弓でこすって演奏する...現在のチェロに似ている...楽器は、ヨーロッパにはたくさんある。
ビオラ・ダ・ガンバ、リラ・ダ・ガンバ、リローネ、アルペジョーネなども脚に挟んで弓で弾く。
ビオラ・ディ・ボルドーネ /バリトン (Viola di bordone / Baryton)
ビオラ・ディ・ボルドーネ(バリトン)
そんな中でバリトンはちょっと違う。弓奏と撥弦のハイブリッドだ。太いネックの裏側は箱のように空間があって12本ほどの弦を張ってある。
この裏側の弦は左手の親指ではじく。ネックの前面では4本の指で弦を押さえる操作を行いつつ、親指は裏でビンビンとはじくのだ。
アタックの強い音と、ロングトーンの音を同時に演奏できるので、楽曲としての幅は広くなる。だけど、演奏はとてもむずかしいだろうね。
ネックの裏側に弦を張ってある。親指で弦をはじく。
ネックの裏側には12本ほどの弦が張られている
ハイドン(Franz Joseph Haydn)は、このバリトンのために200曲近い楽曲(バリトンの独奏曲やバリトンを含む器楽曲)を作ったという。「こすり」「はじき」を一緒くたに、どんな楽譜を書いたんだろう。演奏者は苦労したに違いない。


弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。