2019年8月2日金曜日

2本の弦

2本の弦を持つ弓奏弦楽器
two-stringed bowed musical instruments 2本の弦を持つ楽器

弦を擦って音をだす楽器(弓奏弦楽器)は世界中にあるんだけれど、2本弦というのはなぜか東アジアに多い。多いというよりは集中しているといってもいい。
中国の二胡は有名で、よく知られている。中国内でも二胡と同様な楽器は上のイラストの京胡をはじめ、たくさんの種類が存在している。
北の方へいくと馬頭琴がある。馬頭琴はモンゴルとその周辺の楽器として知られているが、さらに北へいくとロシアの領域(トゥバ)には獣の皮をはったイギルがある。
楽器の普及や存在は、国境ごとに区分けされているはずがない。なので、中国であろうが、モンゴルであろうが、ロシアであろうが文化的な交流は国とは関係なく広がっているんだね。




2本の弦を持つ弓奏弦楽器 東南アジア
南方でも同じく国境には関係なく広がっている。
中国よりさらに南、ベトナム・タイなどでは二胡と同じ祖先をもつであろう2本弦の弓奏楽器が多数存在する。


弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。