2022年3月6日日曜日

竪琴のような形をした弓奏弦楽器

 この形状の弦楽器は、古い時代にリラとかライアとか呼ばれていた形。いわゆる竪琴であるが、これを弓で弾くという楽器がヨーロッパにある。特に北欧で愛された楽器だ。

弦をこすって音を出す弦楽器は一般的には「有棹弦楽器」とかいう聞きなれない名称が付いていて、棹(さお:つまりネックのことだね)があるのが普通だが、ここで紹介する楽器はリラ(竪琴)の形をしていて、棹(ネック)が無い。

現在では、ほとんど廃れてしまった楽器であるが、復活させて楽しんでいるミュージシャンもいる。

ヨウヒッコ

ヒーウカンネル

シェトランドグー

クルース


ヨウヒッコ

jouhikko ヨウヒッコ
jouhikko
ヨウヒッコは、フィンランドの弓奏弦楽器。
3本の弦をいっぺんに弓で擦って、3本とも同時に音を出す。メロディは、一番手前の弦に指を当てて音程を変える。


ヒーウカンネル

hiiukannel ヒーウカンネル
hiiukannel
ヒーウカンネルは、エストニアやフィンランドで使われていた竪琴形の弓奏弦楽器。
エストニアの楽器は角ばった長方形で、まあ、あまりデザインにはこだわっていなかったようだ。
ちなみに、ヒーウ(Hiiu)とは、エストニアの地域の名前。バルト海にある島(Hiiumaa)だ。カンネルは弦楽器のこと。
なので、日本語表記するとヒーウ・カンネルは「ヒーウ琴」というところか。「津軽三味線」みたいな名付け方だ。


シェトランド グー

shetland gue  シェトランド グー
shetland gue
ーは、シェトランド諸島で使われてきたリラ型の弓奏弦楽器。シェトランド諸島はイギリスとノルウェーの間にある群島。
この楽器も、ヨーロッパの北部ノルウェー、スウェーデン、エストニア、フィンランドなどで使われてきた、擦弦楽器と同系列だろう。 アイスランドの擦弦楽器にもっとも近いとも云われている。


クルース

crwth クルース
crwth
クルースは、竪琴の形であるが、ネックが備わっている。
ヨーロッパではクロードとかクロットとか、名前はそれぞれだけど流行りの楽器だったようだ。
ウェールズでは、18世紀ごろまで民族楽器として愛されていたそうな。






弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。