2022年10月31日月曜日

ジャン・マルク・ナティエ 画『王女アンリエットの肖像』

ビオラ・ダ・ガンバ
viola da gamba

ジャン・マルク・ナティエ 画『王女アンリエットの肖像』
王女アンリエットの肖像
脚の間に挟んで演奏するということで、現在のチェロととても似た楽器だ。
似ているけれども、いろいろと違うところがある。
  • チェロの弦の数は4本だが、ビオラ・ダ・ガンバは、6本または7本。
  • チェロにはフレットが付いていないが、ビオラ・ダ・ガンバにはフレットが付いている。
  • チェロには支えるためのエンドピンが付いているが、ビオラ・ダ・ガンバには付いていない。
  • チェロの弓は「逆ソリ」の形をしているが、ビオラ・ダ・ガンバは外側に丸く曲がっている。
  • チェロの弓を持つ右手は、上から弓を支えるが、ビオラ・ダ・ガンバは下から鉛筆を持つようにして支える。
  • チェロの胴体は「いかり肩」だが、ビオラ・ダ・ガンバは「なで肩」。
  • チェロの響孔は、「f字形」だが、ビオラ・ダ・ガンバは「C字形」。
また、古い時代の弓奏弦楽器はガット弦を使っているが、現在の楽器のほとんどはスチール弦を採用している。

viola da gamba は イタリア語で、この名前が一般に知られている。
ジャン・マルク・ナティエはフランスの画家なので、この楽器はビオール(viole)と呼ぶほうがいいのかもしれない(viole は、フランス語)。

本ページのイラストは、ジャン・マルク・ナティエ(Jean Marc Nattier)『王女アンリエットの肖像』をイラストに描き直したものです。



弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。