2012年7月15日日曜日

イギル

イギル
イギルモリンホール(馬頭琴)が出現する前からモンゴルやトゥバで演奏されていた伝統的な弦楽器。
共鳴胴は細長い木の葉状で、皮張り。弓の毛は馬のシッポであることはよく知られているところだけど、本体の弦も馬のシッポを使っていて100本ほどの毛を束ねて1本の弦にしている。

ヘッドには、いろんな動物や伝説の妖獣なども彫られており、馬の彫刻が標準というわけではない。同じくモンゴルの古い楽器で、シャナガンホールと呼ばれるものがあるが、これもイギルとほぼ同様の作りをしている。
モリンホールはイギルやシャナガンホールを元に作られた楽器で、馬の彫刻をヘッドのシンボルとして「モリ(馬)のホール(楽器)」として誕生した。
現在でも、モリンホールをイギルと呼ぶ地域があるようだ。

モンゴル/トゥバ共和国の楽器
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。