2016年5月20日金曜日

コントラバス

コントラバス contrabass(弓で演奏)
この楽器、「コントラバス」が本名だろう。もともと「とても低い音域」のことを contrabass といったのだけれど、コントラバスや略してコンバスがこの楽器の名前になっている。
ただ、この楽器ほど呼び名が多く存在するものもない。使用するジャンルによって、またプレイヤーによって呼び名がいっぱいある。
弦バス、ストリングベース、ウッドベース、アップライトベース、ダブルベース 、アコースティックベース、さらにこれをアコベと略すことも。
そして、単にベースという場合もある。例えばジャズの仲間内ではベースといえばいい。わざわざジャズベースという言い方もあるが、これは、数あるベース楽器のなかで、「ジャズで使うアコースチックのベースですよ」と明示するために使う。

ヨーロッパのクラシック音楽で発展した楽器なので、弓奏が基本ではある。とはいえ、現代の音楽ではピッチカートでの演奏がほとんだ。
低音楽器は、楽曲を構成する和音の根音(つまりベース)を鳴らして、構成する音全体の足元に重心を持たせる。これによって音楽全体を安定させるというのが役目だ。
それともう一つ、ピッチカートで演奏することによりリズム楽器としての役割も大きい。低音は時として聞き取りにくいのではあるが音のエネルギーが大きいので、楽曲全体のリズムを底の方からうったえかける能力がある。

コントラバス contrabass(弦をはじいて演奏)

電気仕掛けでストラップで肩に吊るして演奏できるエレクトリックベースもずいぶんと普及しているが、このどでかい図体はビジュアル的にも重要である。ジャズなんかではやっぱり この大きな図体が絵になる。
それよりなによりアコースチックならではの「はじき音」の音色は捨てがたい。フレットが無いので少しばかり音程が不安的のようで不安定ではなかったり、わざわざ不安定な音から正しい音程に持っていくというようなテクニックもあったりもする。どっしりとした低音の中に心地よい雑音が入り混じる。音質は、はじく場所や弦長によって変わる。ハイポジションの比較的高い音であっても低音エネルギーが衰えない。強弱・音程・音質が七変化する。「生身の人間が弾いています感」が伝わるんだ。同じ低音ならピアノでも出せるが、この「はじき音」の多彩さにはかなわんだろう。
オーケストラはもちろんであるが、ブラスのバンドに入っても、ギターやマンドリンに入っても、ピアノやドラムスに混ざりこんでも・・・どんな音楽でもこの楽器は存在感を示す。
でかくて取り扱いに不便なんだけれども、この楽器は音楽シーンにどうしても必要で、いくら電気・電子の楽器が優秀であろうとも、それらに置き換わってしまうことはないだろう。
弦鳴楽器(弦楽器)
撥弦楽器(はつげんがっき)
リュート属
チター属
ハープ属
擦弦楽器(さつげんがっき)
弓奏楽器(きゅうそうがっき)
リュート属
チター属
打弦楽器(だげんがっき)
弦を振るわせて音を出す楽器が弦鳴楽器(弦楽器)である。弦を振動させるために、弦にエネルギーを与える方法はいろいろあるのだけれど、まず、3つに分けることにしましょう。
(1) 弦をビンビンと弾く(はじく)方法。撥弦楽器。
(2) 弦をギーギーと擦る(こする)方法。擦弦楽器。
(3) 弦をポンポンと叩く(たたく)方法。打弦楽器。
で、ここで紹介しているのは弓奏楽器。「ゆみでかなでるがっき」ということであって、そのままの表現。それって、弦をこするのだから「擦弦楽器」じゃないですかいな。
そうです。その通り。
じゃあ、なぜわざわざ「弓奏楽器」とかいうのかというと、擦弦楽器でも弓を使わない楽器がある。
例えばハーディーガーディーなんかはそうだね。 ハーディガーディ
ハーディガーディは弦を擦って音を出すのだけれども弓を使わない。円盤をクルクル回して弦をこする。つまり擦弦楽器だけれども弓奏楽器ではない、というわけ。